看護師は、専門スキルを高めることで、その分野のスペシャリストを目指せます。たとえば、災害看護は、日本では震災や台風などの天災が多いことから必要な分野です。災害発生時には、緊張状態にある人たちも、避難生活が長引けば心身ともに不調を訴えることが増加します。また、将来への不安や、衝撃的な体験をしたことによるPTSDを患う人も少なくありません。災害看護では、限られた資源の中で被災者の心身の健康に留意しながらサポートします。災害が起きていないときから、災害時はどのように動いて関係機関と連携をとるのかシミュレーションしておくことが大切です。
一方で、高齢化社会が進んで自分の最期を自分で決める人が増えてきたことで、病院ではなく、自宅で最期の時間を過ごしたいという人も多くなってきました。そのような状況にあるため、在宅看護のニーズが高まっているのです。患者ができる限り以前と変わらない日常生活を送れるように、本人だけでなく家族のサポートも必要になります。そこで、在宅患者を抱える家族の気持ちにも寄り添うスキルが欠かせません。また、在宅療養に必要な機器を適切に扱えることも求められるでしょう。
そして、手術室看護でもスペシャリストを目指すことが可能です。手術室看護で必要になる専門スキルには、器械出しと外回りの2つが存在します。器械出しは手術に必要な器械を揃えたり、手術中に器械を医師へ渡したりすることです。外回りは、手術中の患者の精神的ケアや状態観察などを行います。どちらも大切な役割であり、手術室看護師は臨機応変に対応しなければいけません。しかし、手術室の仕事に携わることで、幅広い知識や技術が身につきます。